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埼玉県のeL-QR納付から考える、支払い方法を選べる便利さ

/ 更新 2026.09.20

埼玉県で始まるeL-QRによるキャッシュレス納付のニュースは、県への支払いの話です。ただ、店舗経営の目線で見ると、「支払い方法を増やすと、利用する人の選択肢はどう変わるのか」を考えるきっかけにもなります。

現金だけで会計ができていて、店側に大きな不便がない。そう感じる経営者の方は少なくないでしょう。一方で、来店客が同じように感じているとは限りません。この記事では、埼玉県のニュースを事実として確認しながら、キャッシュレス対応を検討するときの費用、入金、従業員の操作、障害時の備えを整理します。

結論からいえば、現金をなくす必要はありません。ただ、現金だけに限定しない方法を、無理のない範囲で考えることが大切です。

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「現金だけで困っていない」は、客にとっても同じなのか

埼玉県で2026年9月24日から始まるeL-QRのキャッシュレス納付

埼玉県は、2026年9月24日から、eL-QRが付いた納入通知書について、キャッシュレスで納付できるようになると案内しています。対象となる納入通知書には、eL-QRのマークが印刷されています。

eL-QRは、スマートフォン決済アプリやクレジットカードなどを使って、公金を納付するためのQRコードです。県の案内では、行政財産使用料、道路・河川占用料、土地・建物賃貸料などが公金の例として挙げられています。eL-QRが印字されていれば、これら以外の公金でも納付できるとされています。

ここで大切なのは、これは店舗のレジで客が商品代金を払う仕組みそのものではない、という点です。県への納付書を持つ人が、対応する方法を選べるようになるニュースです。しかし、支払いの場面で「現金以外も選べる状態」を整えるという考え方は、店舗の日常にもつながります。

制度の開始日や対象となる納入通知書については、埼玉県「eL-QRのついた納入通知書でキャッシュレス納付できるようになります」で確認できます。

店が困っていない状態と、客が不便を感じていない状態は別かもしれない

現金会計には、分かりやすさがあります。端末の契約も、通信環境の確認も、決済後の入金を待つ必要もありません。手数料が発生しないことを重視して、現金対応を続ける判断にも理由があります。

ただし、「店が困っていない」ことと、「客が不便を感じていない」ことは別かもしれません。たとえば、財布を持たずに外出する人、会計を早く済ませたい人、利用明細をアプリで管理したい人にとって、現金のみの店は選びにくい場合があります。すべての客がそうだと決めつける必要はありませんが、店側からは見えにくい不便がある可能性は考えておきたいところです。

反対に、キャッシュレスなら必ず便利とも限りません。通信障害、端末の故障、決済サービスのメンテナンスがあれば、会計が止まることがあります。従業員が複数の操作を覚えなければならず、忙しい時間帯に負担が増えることもあります。

現金をなくすのではなく、選べる支払い方法を考える

そこで目指したいのは、現金かキャッシュレスかを一方に決めることではありません。現金を残しながら、店の規模や客層に合う支払い方法を一つずつ検討することです。

たとえば、まずは利用希望を尋ねられることが多い決済方法だけを候補にし、月額費用、決済手数料、入金日、端末の扱いやすさを確認します。導入後も、現金会計を残したまま、客が自分に合う方法を選べるようにします。

支払い方法の選択肢は、現金を否定するものではなく、客と店の双方が無理なく会計するための幅です。

eL-QRのニュースを、店舗の日常に置き換えて考える

eL-QRは納入通知書の支払いに使うQRコードである

eL-QRについて、店舗経営で誤解しやすいのは、一般的な店舗向け決済用QRコードと同じものだと考えてしまうことです。県の案内で示されているeL-QRは、納入通知書に印刷され、公金の納付手続きに使われます。

そのため、店舗が商品代金の支払いにeL-QRを導入できるという意味ではありません。ニュースから店舗が学べるのは、QRコードという技術そのものよりも、利用者が複数の納付方法から選べる設計と、利用時の注意点です。

店でキャッシュレス決済を検討する場合は、導入を考えているサービスの公式資料を確認し、「商品代金の決済に使えるか」「対象となる決済ブランドは何か」「売上の入金先と入金日はどうなるか」を、サービス提供会社や取扱事業者に尋ねる必要があります。

スマートフォン決済アプリやクレジットカードなどが選択肢になる

埼玉県のeL-QR納付では、スマートフォン決済アプリ、クレジットカード、インターネットバンキングが選択肢とされています。2026年9月24日時点で利用可能なスマートフォン決済アプリは、県の案内では合計27種類とされ、PayPay、楽天ペイ、au PAY、d払いなどが例として挙げられています。クレジットカードは、VISA、Mastercard、JCB、American Express、Diners Clubが案内されています。

ただし、これは県への納付に関する対応ブランドです。店舗が導入する決済サービスで、同じブランドが使えるとは限りません。店舗向けサービスを比較するときは、ブランド名だけでなく、客が実際に使う場面、端末の種類、通信方法、取消や返金の手順まで確認しましょう。

キャッシュレス対応で確認したい手数料・入金・レジ操作の負担

eL-QRによるクレジットカード納付では、納付額に応じたシステム利用料がかかります。県の案内では、納付額が1円から10,000円の場合は40円、10,001円から20,000円の場合は123円で、2万円を超える場合は価格帯ごとに異なるとされています。これは県への納付にかかる利用料であり、店舗向け決済サービスの手数料と同じ条件ではありません。

店舗で確認すべき項目は、単純な手数料率だけではありません。次のように、売上がいつ、いくら入るのかまで見ておくと判断しやすくなります。

確認する項目 具体的に尋ねること
費用 決済手数料、月額費用、端末代、振込手数料はあるか
入金 売上の締め日、入金日、入金回数、売上明細の確認方法は何か
操作 会計から決済完了までの手順、取消・返金時の操作は何か
対応範囲 利用できるカード・電子マネー・スマートフォン決済は何か

特に小規模な店では、数分の操作負担や入金日の違いが、従業員の働きや資金繰りに影響します。導入前に、実際のレジ担当者が操作を試せるかも確認しておくと安心です。

出典:埼玉県「eL-QRのついた納入通知書でキャッシュレス納付できるようになります」

埼玉県「eL-QRのついた納入通知書でキャッシュレス納付できるようになります」

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便利さの裏側で、従業員と経営者が確認すること

支払い方法が増えるほど、案内と操作をそろえる必要がある

決済方法を増やすと、客の選択肢は広がります。その一方で、従業員は「どの端末を使うのか」「決済完了画面をどう確認するのか」「取消は誰が行うのか」を覚えなければなりません。担当者によって説明や操作が違うと、会計ミスや待ち時間につながります。

導入するなら、レジの近くに短い手順を置き、決済完了の確認方法、エラー時の対応、現金へ切り替える基準をそろえておくとよいでしょう。客への案内も、「使えます」だけでなく、対応ブランドや利用できない時間帯があれば、分かる範囲で表示します。

システム利用料や入金条件はサービスごとに確認する

手数料や入金条件は、決済サービスによって異なります。県のeL-QR納付で示されたシステム利用料を、そのまま店舗の売上決済に当てはめることはできません。候補を絞ったら、提供会社に「月の売上がこの程度の場合の手数料はいくらか」「入金は何営業日後か」「早期入金に別料金がかかるか」と具体的に確認します。

経営者にとっては費用だけでなく、入金待ちの期間も重要です。従業員にとっては、レジ操作が現金会計より複雑にならないかが重要です。客にとっては、使いたい方法が本当に対応しているかが重要です。三者の負担を一緒に見ておくと、導入後の行き違いを減らせます。

通信障害・機器故障・メンテナンス時にも現金で対応できる準備を残す

キャッシュレスは通信や機器が動いて初めて使える支払い方法です。端末の充電切れ、通信障害、サービス側のメンテナンスなどで利用できない場合があります。埼玉県も、eL-QRはシステムメンテナンス中に利用できないことがあると案内しています。

だからこそ、現金を受け取るためのおつり、レジの手順、障害時の案内を残しておく意味があります。現金をなくさないことは、キャッシュレスに後ろ向きというより、支払い手段を一つに依存しない備えです。

eL-QR利用では領収書が発行されない点にも注意する

埼玉県の案内では、eL-QRを利用した納付では領収書が発行されないため、領収書が必要な人は金融機関窓口で支払うよう示されています。また、eL-QRによる納付とは別に、コンビニなどでの支払いは引き続き可能とされています。

この注意点は、店舗でも参考になります。キャッシュレス決済では、紙の領収書、利用明細、決済履歴のどれを案内するのかを決めておく必要があります。客から領収書を求められたときに、発行できるか、代わりに何を渡せるかを事前に確認しておきましょう。

出典:埼玉県「eL-QRのついた納入通知書でキャッシュレス納付できるようになります」

埼玉県「eL-QRのついた納入通知書でキャッシュレス納付できるようになります」

まずは一つの支払い場面から、店の選択肢を見直してみる

来店客がよく尋ねる支払い方法を従業員と共有する

いきなり多くの決済方法を導入する必要はありません。まずは、従業員が客からよく受ける質問を共有してみましょう。「カードは使えるか」「スマートフォン決済は対応しているか」「現金以外なら何が使えるか」といった質問が繰り返されているなら、客が感じている不便を知る手がかりになります。

記録する期間は、たとえば1〜2週間でも構いません。質問の数と内容を見てから、必要な支払い方法を検討すれば、使われるか分からない機器を先に増やすリスクを抑えられます。

現金対応を残したまま、導入候補の費用と入金日を確認する

候補が見つかったら、手数料だけで決めず、固定費、端末費用、入金サイクル、返金時の扱いを確認します。確認先は決済サービスの公式窓口や取扱事業者です。「自店の業種と売上規模で利用できるか」「現金と併用できるか」「障害時にどのようなサポートがあるか」まで尋ねると、比較しやすくなります。

店内表示やレジ周りを整え、客が迷わない状態をつくる

対応する支払い方法が決まったら、入口やレジ周辺に、使える方法を見やすく表示します。表示が小さい、ロゴが多すぎる、従業員によって説明が違う、といった状態では、選択肢が増えても便利さが伝わりません。現金も使えることを含め、会計前に分かる案内を整えることが大切です。

自店では「現金だけで十分」と言えるのかを問い直す

現金には、通信や機器に左右されにくいという強みがあります。キャッシュレスには、財布を出さずに済む、会計履歴を管理しやすいといった利点があります。どちらかを正解にするのではなく、自店の客、従業員、経営の事情に合う組み合わせを探すのが現実的です。

まずは一つの支払い場面について、客からの質問を記録し、現金を残したまま追加できる選択肢があるかを確認してみてはいかがでしょうか。

作成時の参照資料

取得日は情報の更新日ではありません。最新の条件は提供元をご確認ください。